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彼がいたからこそ

今月の27日は、いわゆる仲秋の名月と呼ばれる十五夜。
その翌日28日は月の地球への最接近となる日。
すなわち、スーパームーンの日となる。
空気も澄み、月に限らず天体ショーが気になる季節になってきた。

空に見える多くの惑星は、楕円軌道を描いている。
そのため、時に遠く、時に、非常に近くに見えたりすることがある。
大接近となると、夜空の星もいつもと見え方が違ったりする。
それが、不吉な象徴という事もある。
西郷隆盛が西南戦争に破れ歿(ぼっ)した時に、
空には「西郷星」というものが妖しく輝いていたという。
この星、どうも火星だったようだ。
調べてみると、火星はその年に大接近となっており、
空にひときわ明るく(-2.5 等星)輝いていたようだ。

西郷隆盛と言えば、その評伝には
「命もいらず、名もいらず、官位も金もいらぬ人は、始末に困るものなり。
この始末に困る人ならでは、艱難をともにして国家の大業は成し得られぬなり」
この言葉は、
名声も地位も求めようとせず命すらも惜しまない人物、こんな人物は扱いに困る。
だけども、こんな人物でなければ、国家の大業はなし得ない、という意味となる。

西洋でこのようなカタブツの人物を探ってみると、
フランス革命時のロベス・ピエールが思い浮かんでくる。
彼がいたからこそ、
あそこまで徹底して革命が成し遂げられたと言うこともできるが、
あそこまでの恐怖政治となってしまったと言うこともできる。
彼をして"L'Incorruptible" と呼ばれていたという話が残っている。
この意味、すなわち「買収不能」。
まさに、カタブツ。
最後は自身もギロチンにかけられて亡くなっている。
民衆に呼びかけた演説の言葉が残っている。
それは、「市民よ!諸君は、革命なしの革命を望んでいたのか?」
というもの。

カミュは、この革命の流血を非難し、
これに対して、
サルトルは、ここまでやってこそ革命だというロベス・ピエールこの言葉を支持している。

歴史をかけた戦いは、こういったものかも知れない。
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